鉄筋探査

コンクリート構造物の内部配筋状況やかぶり厚を確認する調査です

鉄筋探査は、施工管理状態の品質を確認したり、改修工事・耐震補強工事などでのあと施工アンカー工事の際の鉄筋切断や埋設物の損傷事故を防ぐため、施工作業前に、コンクリート構造物の鉄筋の配筋状態・かぶり厚などの調査を、構造物を破壊せずに行います。
探査機器は、主に電磁波レーダー法と電磁誘導法の2種類を使用され、探査対象物の種類や探査深度などによって、どちらかを選定します。この2種類の違いをご紹介いたします。

かぶり厚:コンクリートの表面から鉄筋の表面までの最短距離のことです。

電磁波レーダー法

電磁波レーダー法

電磁波をアンテナからコンクリート表面に向けて放射すると、その電磁波がコンクリートと電気的性質の異なる物質、例えば、鉄筋、空洞等との境界面で反射され、再びコンクリート表面に出て受信アンテナに受信されます。
この送信から受信に到るまでの時間から、反射物体までの距離を知ることができます。平面的な位置は、距離計を内蔵した装置を移動させることにより、位置情報を得ることができます。

電磁波レーダー法

電磁波レーダー法を使用している探査器

電磁誘導法

電磁誘導法は、試験コイルに交流電流を流すことによってできる磁界内に、試験対象物を配置する事によって試験を行います。鉄筋は、軟鋼材であるので電磁誘導試験が可能です。
この試験方法をコンクリート構造物で使用すると鉄筋位置やかぶり測定ができます。
また、機器の種類により鉄筋径の推定が可能です。

電磁誘導法

探査方法の機能・性能一覧(参考)

機種によって異なる場合があります。必ずメーカーの資料をご確認ください。

電磁波レーダー法 電磁誘導法
探査時期 コンクリート打設後14日以降に行った方が望ましい




探査対象物 鉄筋
塩ビ管 ×
空洞 ×
測定項目 鉄筋位置/
かぶり厚
同時測定可能
径の推定 ×
探査深度(参考) 200mm ~ 300mm前後まで

かぶりが深い場合に適している
最小 10mm 以下、最大 100mm 以上

かぶりが浅い場合に適している
JASS5では、80mmを限度としている。
探査対象の鉄筋の
種類
D10~D51 D10 以上 D38 以下
基本性能 分解能
(距離)
5mm 以下
分解能
(かぶり)
2~3mm 以下
測定精度 間隔の
測定精度
±10mm 以下
かぶりの
測定精度
±5mm 以下
測定可能な
鉄筋の間隔
(中心間距離)
・設計かぶりが75mm未満場合
75mmの鉄筋間隔が測定できること

・設計かぶりが75mm以上の場合
設計かぶりの距離の鉄筋間隔が
測定できること
・設計かぶりが50mm未満場合
75mmの鉄筋間隔が測定できること

・設計かぶりが50mm以上の場合
設計かぶり×1.5の距離の
鉄筋間隔が測定できること


測定面に
水分がある場合
影響を受けやすい
表面に水分がある場合、
水分を除去する
影響を受けない
基本的には機器が濡れると、
故障につながる恐れがあり、
表面に水分がない状態で
測定することが望ましい
表 示 断面的な波形に限らず、
平面的な表示で配筋状況の確認も行える。
多重反射波が少なく密集配筋も探査可能
色調(カラー・モノクロ)、
波形振幅の表示変更が可能
探査画像でなく、
反射波の強さで判断しているため、
鉄以外の判断ができない
データ解析 探査データを専用ソフトで解析できる 専用ソフトがなく、
データ保存ができない機種がある

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