せん断試験方法

試験方法

せん断試験機器は、あと施工アンカー軸に対し直角方向に徐々に加力する機器、荷重を計測する機器および必要に応じて変位を測定する機器で成立させることが望ましい。

荷重を加える機器類の能力

  1. 荷重を載荷する機器は、円滑にアンカーに対して荷重を加力ができるものが望ましい。
  2. 荷重を加える機器の剛性性能は、あと施工アンカー試験荷重に対して剛体とみなせる剛性をもつ構造が望ましい。
  3. 荷重を加える機器は、加える引張応力の平均で毎秒19.6N/mm2以下の速度に対応できるものが望ましいとされているケースが多い。
  4. せん断力(荷重)の算定では、アンカー筋の最小断面積で算定する場合が多い。
  5. あと施工アンカーにせん断荷重を伝える加力治具をナット締結する場合テフロンシート等を用いて摩擦力低減処置を施す。
  6. せん断力(荷重)の算定では、アンカー筋の最小断面積で算定する場合が多い。
  7. 荷重を加える装置の脚部間隔は、アンカー耐力に影響を及ぼさないような目安を表-1に示す。
  8. あと施工アンカーにせん断荷重を加える加力治具に設ける穴径はアンカー径の1.08~1.13倍が多く存在する。目安を表-2に示す。

表-1

アンカーの種類 アンカー間隔 へりあき寸法
金属系アンカー ≧1.5Le程度 *1 ≧2.0Le程度 *1
接着系アンカー(カプセル型) ≧1.0Le程度 *1 ≧1.2Le程度 *1

*1 Le:埋込み深さ

表-2

(mm)

アンカー径 6 8 10 12 16 20 22 24
穴径 6.5〜6.7 8.6〜9.0 10.8〜11.2 13.0〜13.5 17.3〜18.0 21.6〜22.4 23.8〜24.6 26.0〜27.0

荷重を計測する機器類の能力

  1. 荷重を計測する装置は、アンカーに加えられた荷重を、定期間隔のデータ収集で恒常的に記録する。
    荷重変化に遅延なく追随し計測できるものが望ましい。
  2. 荷重を計測する装置の精度は、±1.5%未満が望ましく、最小読取り値で、予想最大荷重の5%以下の荷重を測定できるものが望ましい。
    事前に校正証明書、カタログ等で確認する。

変位を計測する機器

  1. 変位を計測する機器は、アンカーの変位を、定期間隔のデータ収集で恒常的に記録する。
    変位の変化に遅延なく追随し計測できるものが望ましい。
  2. 変位を測定する装置の精度は、±0.02mm未満が望ましいとされる。
  3. 変位を測定する装置は、荷重を加える装置から独立して設置されなければならない。
    加力時の荷重変動の影響を受けない所に設置しなければならない。

破壊試験における試験方法

  1. 荷重を加える機器は、ぐらつかず安定した状態で設置する。
  2. 荷重を加える機器は、あと施工アンカーが中心位置になるように設置することが望ましい。
    現場条件で中心に据え付けられない場合は、必ず偏心載荷の影響の確認を行う。
  3. 荷重を加える機器は、あと施工アンカーの軸線に対し90度方向に荷重を加えられるように設置する。
  4. 変位を計測する場合の設置位置は、あと施工アンカーに近い位置することを原則とする。
    不可能な場合は設置する位置の距離とセンターシャフト等の伸びを考慮し補正する。

破壊試験における荷重計測

加力速度は2.(3)と同等で一定の速度で増加させる。荷重の計測はあと施工アンカーの抜け、コンクリート母材の破壊もしくはあと施工アンカーの破断まで行う。破壊までの過程における最大値をもって最大荷重とする。M20以上のあと施工アンカーの破壊試験におけるあと施工アンカー破断の破壊モードでは大きな衝撃が発生するため機器類の倒壊などの対策を必須とする。

破壊試験における変位計測

破壊試験における変位計測は、あと施工アンカーの抜け、コンクリートの破壊あるいはあと施工アンカーの降伏耐力(0.2%ε)または降伏点より求めた荷重で行うことが望ましい。機器類の噛合等により滑り出しが生じる場合は、荷重-変位曲線上の直線部分を延長し、変位軸との交点をゼロ点とする等の補正をおこなってもよい。
また、初期余荷重を加える場合は、2kN以下もしくは想定される最大荷重の5%以下とする。破壊試験における破壊モードによっては、破壊時に大きな衝撃が生じ変位計が破損する場合が多い。破壊モードがあと施工アンカーの破断と予想される場合は、ショック吸収用にゴムクッションを取り付けるか変位計測自体を取りやめることも考慮する。

サンプリング数

サンプルの大きさnは引張試験については5本以上が望ましい。ただし、基準試験等で別個に試験を行う場合では、3本とすることも考えられる。

引張試験装置図(例)

平面図

側面図

アイソメ図

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